athletes sleep performance
睡眠コラム by Suzuka Eko2019年10月16日読了目安時間: 7

睡眠とアスリートの深いつながり

世界陸上、ラグビーワールドカップ、2020年夏に開催される東京オリンピックなど、ますます盛り上がりを見せるスポーツ業界。今後もアスリートたちの活躍に目が離せませんね!

そんなアスリートたちにとって最高のパフォーマンスを支えるため、睡眠は欠かせない要素のひとつ。

睡眠中に体を支えるマットレスから睡眠環境などに注目しているアスリートも増えています。

現に日本代表のラグビーチームでも睡眠を管理するテクノロジーを導入し、質の良い睡眠を意識的に取り入れているようです。(参照:日経XTECH https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00623/00007/

今回は睡眠(静)と運動(動)。正反対に見えての深いつながりがあるこのふたつをアスリートたちのパフォーマンス結果とともにご紹介します!

アスリートたちは何時間寝てるの?

 

まず私たちの平均の睡眠時間がどれくらいなのか見てみましょう。

平成29年厚生労働省の調査によると、日本人の1日の平均睡眠時間は6時間〜7時間未満の割合が最も高いと言われています。(参照:平成29年厚生労働省「国民健康・栄養調査結果の概要」)

では、世界で活躍しているプロアスリートたちの睡眠時間はどうでしょうか?以下の表から、なんと全てのアスリートが8時間以上の睡眠をとっていることがわかります。(自身のツイッターで睡眠障害を報告したタイガー・ウッズを除く)

(参照:Fatigue Science https://www.fatiguescience.com/blog/infographic-why-athletes-should-make-sleep-a-priority-in-their-daily-training/

このように、世界レベルで戦っているアスリートたちは、睡眠時間を比較的長く設定しているようですね。

では、なぜプロのアスリートは貴重な時間を睡眠に当てているのでしょうか?

アスリートにとって一番の疲労の原因とは

 

突然ですが、ここで皆さんに問題です!

アスリートにとって、どんなことが一番疲労を感じる原因かご存知ですか?

「トレーニングのしすぎ?」

「勝たないといけないプレッシャー?」

「食事制限によるパワー不足?」

2007年オーストラリア国立スポーツ研究所による臨床調査では、アスリートにとって疲労をもたらすものは、ダントツで睡眠の問題だということが報告されています。この研究結果以前は過酷な練習が疲労の原因となると考えられていたため、アスリートにとって睡眠がパフォーマンスに大きく影響するということを証明したのです。(参照:Fallon, K.E. (2007). Blood tests in tired elite athletes: expectations of athletes, coaches and sports science/sports medicine staff. Br. J. Sports Med. 41:41-4.)

体力勝負でもあるアスリートにとって、疲労は最大の敵でもあります。疲れを溜めないためにも、アスリートが十分睡眠をとってるということも頷けますね!

また、アスリートのパフォーマンスの結果は心と体のバランスに大きく影響しているようです。

金メダルを取るには睡眠の勝者になるべし!

 

Photo by Tirachard Kumtanom from Pexels

アスリートたちが目指す自己新記録。自分の持っているものを最大限引き出すために、日々の努力は欠かせません。

日本オリンピック委員会(JOC)では、結果を出すコンディションづくりは非常に欠かせないものと考えています。実際の競技成績をみても、体力的側面だけでなく、精神的なコンディションも成績に影響しているのです。

 

                            (参照:日本オリンピック委員会https://www.joc.or.jp/column/playersupport/conditioning/index3.html

技術面、体力面、メンタル面、栄養面など、全てのコンディションを考慮したところ、金メダリストはトータルして「とてもうまくいった」もしくは「うまくいった」と自己評価しています。(表は女子のみのスコアですが、男子も同様の結果)

これにより、実際にオリンピック金メダリストは、心と体のバランスが他の選手よりも安定していたということがわかりますね。このように、アスリートが自分の最高のパフォーマンスを引き出すには心身ともに強さが必要ということです。やっぱり世界最強は自己管理もしっかりしてますね!

睡眠不足がもたらす恐ろしさ

 

Photo by energepic.com from Pexels

逆に睡眠を十分に取らないと私たちの生活にどのような影響が起こり得るのでしょうか?体と心の変化をみてみましょう!

1. 成長ホルモンの減少

 

就寝中に分泌される成長ホルモン。成長ホルモンは骨や筋肉の成長を促し、新陳代謝や体に必要な機能を健常な状態にコントロールしてくれます。睡眠不足になるとその成長ホルモンが減り、疲労感が残りやすくなってしまいます。寝不足になると体の新陳代謝が悪くなるためです。だから肌荒れになったり、むくみやすかったりしちゃうんですね。

アスリートにとっては疲れが残り、体が重たく感じてしまので、実力をフルに活かしきれないことがあります。

2. 判断能力、状況判断、反射神経の低下

 

睡眠不足になると疲労がたまり、エネルギーがしっかりチャージされないため、いざという時の判断能力が低下します。さらに説明されてもうまく頭に入りにくかったり、脳の指令も遅くなってしまいます。

また状況がつかみにくくなったり、反射神経も鈍ってきてしまうのです。アスリートの場合、思わぬ事故や怪我の原因にもなりかねません!

表をみてもわかる通り平均睡眠時間が8時間の人に比べ、6時間の人は約35%も怪我をする確率がアップしてしまいます。(参照:マシュー・ウォーカー『睡眠が最強の解決策である』)怪我はアスリート生命にも関わるほど重要です。

3. 記憶力の欠如

 

私たちは眠っている間、その日にあった新しい記憶の整理をして「覚えていくもの」と「忘れていくもの」に分ける作業をしています。また情報の精査や今まで蓄積していた記憶とのひも付けもこの時にされています。

その結果、記憶が曖昧になったり、記憶力が悪くなってしまう原因になってしまうのです。そのため医学的にもアルツーハイマー病と睡眠不足の関連は認められてきています。

4.  気分やモチベーションの低下

 

高いパフォーマンスを出すためにも気分の高揚やモチベーションの維持はマストですよね。今まで絶好調!と思ってできていたことができなくなることで、どうしても気分が上がらなくなってしまうこともあります。

それによって高いモチベーションをキープすることが難しくなってきてしまう可能性も。

5. ストレスの増加

 

「なかなかタイムが伸びない」「シュートが決まらない」「怪我の治療が思ったより長引いている」など、思い通りのパフォーマンスを発揮できないことの焦りや苛立ちが、ストレスに変わっていってしまうことがあります。

睡眠を妨害するストレス。寝つきが悪くなってしまうことで、さらに余計なことを考えてしまい、「心も体も休まらない」という悪循環になりがちです。

以上のように、ちょっとした睡眠不足がただ事じゃない事態を招く可能性があるなんて恐ろしいですね。上記に心当たりに思うことがあったら要注意!アスリートの方のみならず、皆さん、家族や友人は大丈夫でしょうか?

このような負の連鎖を断ち切り、心身ともに健やかな状態を保つために、意識的に睡眠を取ることが大切です。後々後悔しないために、体と心の悲鳴を敏感に感じ取り、あなたのペースでできることをやっていきましょう。

まとめ

 

いかがでしたでしょうか?アスリートと睡眠はパフォーマンスに大きく関わる要素の一つでしたね。スポーツに限らず、睡眠は私たちのライフスタイル、家事、仕事、学習のパフォーマンスにも影響します。

睡眠の大切がわかった今、まずは睡眠環境や寝具の見直しからはじめてみるのも手ですね!毎日のことだからこそ「価格が安いから」「いつも使っているから」と安易に決めるのではなく、自分の生活スタイルにあったものを慎重に選びましょう。

 

 

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