ぐっすり快適な睡眠は、毎日のパフォーマンスを高めるために、そして健康で充実した生活のためにとても大切です。2023年、厚生労働省は、健康な毎日のための「睡眠ガイド」を新たにまとめ、成人は毎日6時間以上眠ることを推奨しています。
「眠り」について注目が高まるなか、快適な睡眠環境のために寝具にこだわる人が増えています。湿気が多い日本では、梅雨や秋雨シーズン、高温多湿の夏になると、布団やマットレスなどの寝具が湿気を含み、ときにはカビに悩まされます。
見た目に不快なカビは、健康に悪影響を及ぼすことはもちろん、マットレスなどの寝具にもダメージを与えます。このため、マットレスの通気性をチェックすることはとても重要です。
本記事では、上級睡眠健康指導士でコアラマットレス社員の松本が、通気性の良いマットレスの素材や特徴について詳しく解説し、さらに、気になる「カビ」を寄せ付けないために、今すぐできる対策についてもまとめました。
目次
通気性の悪いマットレスを使った場合の悪影響とは?
通気性が悪いマットレスを使っていると、カビやダニが繁殖したり、反発力が低下するなどマットレスの劣化が早まる原因になります。また、睡眠の質の低下につながる可能性もあります。
カビやダニが繁殖しやすくなる
高温多湿の環境下では、カビやダニが繁殖しやすくなります。カビやダニが好むのは、温度20〜35℃、湿度60〜80%の環境です。日本の夏や梅雨の季節は、カビやダニが繁殖しやすい気候なのです。
マットレスの通気性が悪いと、寝汗による湿気がマットレスにこもってしまうため、カビやダニが繁殖しやすい環境になってしまいます。
マットレスの劣化を早める
コイルマットレスの場合、通気性が悪いとマットレスの劣化が早まる原因になります。マットレス内部のコイルは金属でできているため、寝汗により湿気が発生することにより、サビが発生する可能性があるためです。
快適な睡眠が取りづらくなる
深い睡眠のためには、適切な体温を維持する必要があり、寝汗は体温調節のために重要な役割を果たしています。
快適な睡眠のためには、寝汗を素早く蒸発させ、寝具内の湿度を調節できる機能を持つマットレスを使うことが望ましいです。
通気性の悪いマットレスを使っていると、湿気が寝具内にこもってしまい睡眠の質を低下させかねません。
マットレスの通気性の良さを見分ける3つのポイント
マットレスの通気性の良さを見分けるには、次の3つのポイントに着目しましょう。
①マットレス内部の素材
②マットレスカバーの素材
③側面の構造
以下で詳しく解説していきます。
①マットレス内部の素材 | 5種類
マットレス内部の素材が、空洞構造のマットレスだと通気性が良くなります。反対に、素材が詰まっている構造のマットレスは通気性が悪くなります。
以下では、マットレス内部の素材別に、通気性の良さについて解説します。
ウレタン・|ムレやすさを改善している製品もある
一般に、ウレタンは素材中に空気が通る空洞が少ないため、通気性がよくない傾向があります。しかし、なかには素材中に小さな気泡を入れるなど、独自の加工を施すことで通気性を高めている製品もあります。
マットレスを選ぶ際は、それぞれの製品の機能をしっかり確認しましょう。
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ファイバー素材|通気性は抜群
通気性に優れているのが、ファイバー素材のメリットです。樹脂を網目状に固めたファイバー素材は、空気の通り道が多くあります。このため湿気がたまりづらいのです。
中には水洗いできる製品もあり、ダニやカビ対策にも効果的です。
ボンネルコイル|通気性は優秀
ボンネルコイルマットレスも通気性に優れています。ボンネルコイルは鉄線をバネのようにして組み上げられているため、マットレス内部に空洞があります。そのため、通気性の良い構造です。
ただ、コイルマットレスは上下を別の素材で挟むように作られており、その素材によっても通気性が変化します。すべてのボンネルコイルマットレスが通気性に優れているというわけではありません。
ポケットコイル|通気性はほどほど
ポケットコイルマットレスの通気性は中程度です。コイル一つひとつが不織布で包まれているポケットコイルは、その構造上通気性が低くなります。
またボンネルコイル同様、コイルの上下を別の素材で挟むように作られているため、その素材によって通気性も変わることに注意しておきましょう。
ラテックス|寝心地がよいがムレやすい
樹脂からつくられたラテックスは、クッション性が高く寝心地がいい一方、空洞が少ない素材であることから通気性が悪くムレやすいのがデメリットです。このため、シーツやベッドプロテクターに吸湿性の高いものを使うなどの工夫が必要になります。
②マットレスカバーの素材 | 4種類
マットレスは中身の素材だけでなく、素材を覆っているカバーによっても通気性が変化します。マットレスカバーの素材のポイントとなるのが「吸湿性」と「放湿性」です。
「吸湿性」とは空気中にある水分(湿気)を吸収する機能を指し、「放湿性」は吸収した水分を放出する機能です。この双方向の機能に優れた素材を使ったマットレスは、蒸れたりじめじめしたりすることのない快適な睡眠環境を提供します。
コットン|吸湿性に優れる
コットン(綿)は吸湿性に優れますが、乾くのに時間がかかるため、放湿性には優れた素材ではありません。マットレス内部に湿気がたまり、ムレを感じてしまいます。
一般的には、コットンはカバー素材として使われることは少ないでしょう。
レーヨン|吸湿性・放湿性ともに優れる
レーヨンは吸湿性・放湿性ともに優れた素材です。寝汗によるべたつきを感じず、快適な睡眠がとれます。マットレスのカバー素材としても人気です。
ポリエステル|吸湿性・放湿性には優れない
肌ざわりのよいポリエステルは、マットレスカバーによく使われている素材です。ただ、吸湿性・放湿性には優れないため、ムレ感があり寝苦しさを感じることもあるでしょう。
通気性の良さを求める場合は、ポリエステル素材を使ったマットレスはおすすめできません。
ポリエチレン|吸湿性・放湿性に優れた高機能なものも
ポリエチレン繊維の中には、吸湿性・放湿性に優れた特殊加工されたものがあり、機能性が求められるアウトドアウェアなどに使わていますが、高性能なマットレスのカバーなど、高性能な寝具の素材として使われている場合もあります。
このタイプの素材を使ったマットレスカバーは、とくに多汗な人や就寝中のムレに不快感がある人におすすめです。
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③側面の構造 | 3種類
マットレスの側面が通気性を高める構造になっていると、さらに快適な寝心地が期待できます。通気性を高めるための側面の構造について、代表的なものを3つご紹介します。
メッシュ生地|通気性の悪さを改善
メッシュ生地を使った側面は、マットレスの通気性を高めます。
マットレスカバーに通気性の悪いポリエステル素材を使用していても、側面がメッシュ生地であれば通気性の悪さは改善されます。
ただし汗を吸収しにくい素材のため、肌に触れる部分はメッシュではない方が良いでしょう。側面がメッシュ生地であることがポイントです。
ベンチレーター(通気孔)|内部の空気を放出
ベンチレーターとはマットレスの側面にある穴のことで、コイルマットレスでよく採用されています。ベンチレーターによってマットレス内部にある湿った空気が外に放出され、適切な湿度を調節されます。
ゾーニングホール|通気性にも役立つ
ゾーニングホールとはウレタンマットレスに刻まれた穴や切れ込みを指し、本来はマットレスの硬さを調整するための仕様です。しかし、ゾーニングホールによって通気性も高まります。
【暑さ&カビ対策】通気性を良くして快適に眠る方法を解説
暑さによる寝苦しさやカビに対策するには、マットレスだけではなく、補助的な寝具も活用してみることもおすすめです。
この方法は、現在使っているマットレスや敷き布団に加えて使えるため、ムレによる寝苦しさを感じている人はぜひ試してみて下さい。
すのこベッド・すのこマットを使う
ムレが気になる人に最もおすすめなのは、すのこの形状のベッドフレームやマットを使うことです。「すのこ」は隙間のある格子構造なので、マットレスの下から湿気を逃がすことができます。
さらに、すのこに使われる素材である桐やヒノキは湿度を調節してくれる効果があるため、ムレやすい睡眠環境には最適な素材といえます。
ベッドフレームを置くスペースがあるなら、脚付きタイプのすのこベッドを使うのがベストです。ベッド下に空気が通る高さの空間が生まれ、湿気を逃がしやすくなるからです。
部屋のスペースが狭い・床にマットレスを敷いている場合は、床置き用やコンパクトに収納可能なタイプのすのこマットを選ぶと良いでしょう。
ベッドパッドやプロテクターを使う
ベッドパッドも暑さやカビの対策におすすめです。これらを使うことで寝汗がマットレスへ浸透するのを防ぎ、カビの発生を防止できます。ひんやり快適な冷感素材を使った製品を選べば、寝苦しい暑い夏の夜にも快適でしょう。
また、マットレスを衛生的に保つマットレスプロテクターを使うと、ダニの侵入を防ぎ、カビの発生も抑制できます。
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マットレスを立てかけて風を通す
マットレスの内部にたまった熱や湿気は外へ逃げにくいため、マットレスを立てかけて風を通すことも大切です。マットレスの素材によっては熱に弱いものもあるため、直射日光を避け、陰干しにすると安心です。
できれば月に1回、マットレスに風を通すことができればカビを寄せ付けない衛生的な睡眠環境につながります。
「通気性」以外の機能性もあわせて考えてマットレスを選ぶことも大事
マットレスの通気性が大切だということは、上記で述べたとおりです。とはいえ、マットレスを選ぶ際は「通気性」以外にも検討すべきポイントはあります。
多汗に悩んでいることから、通気性の良いファイバー素材のマットレスを選んだものの、ファイバー素材の硬めのテクスチャーが気に入らないという場合もあります。そのようなケースでは、敷きパッドや「すのこ」タイプのベッドを使うことで、寝心地のよいウレタンやスプリングマットレスでも通気性やカビに十分対策できます。
マットレスは、1日のおよそ3分の1の時間を過ごす大切な睡眠環境です。マットレス選びにあたっては、通気性という観点だけではなく、自分の好きなかたさや寝心地についてじっくり確認し、納得できるまで試してから決めたいものです。
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マットレス選びについてさらに詳しく知りたい人は、寝心地がよい快適なマットレスの選び方とは?タイプやサイズ別に徹底解説!をチェックしてみてください。
まとめ:快適な睡眠のために暑さ&カビ対策をしよう!
マットレスの通気性を高めることによって、カビやダニの繁殖を防ぐことができたり、マットレスの劣化を抑制したりできます。また、不快な湿り気も解消でき、快適な眠りにつながります。
現在使っているマットレスの通気性がきになる場合は、すのこベッドを使ってみたり、定期的に風を通すなどのメンテナンスを行うことで、お気に入りのマットレスをずっと使い続けることができるでしょう。
高温多湿になる日本の夏や梅雨の時期は、カビやダニの対策が不可欠です。この記事が、すっきり清潔で爽やかな睡眠ライフに役立てば幸いです。